『衝撃のペペロンチーノ』の巻

2005年、イタリア・フィレンツェに留学した時の『衝撃のペペロンチーノ』と、今でも忘れることができない笑い話。

『衝撃のペペロンチーノ』

<アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ>。 シンプルすぎて、それゆえに作るのが難しいパスタの一つです。
そして・・・・留学する前の私が最も好きではないパスタでした。 
そのパスタのイメージといえば・・・・強烈なニンニク(アーリオ)と食べ終わりの皿の上に残る油(オーリオ)、そして強烈な唐辛子の辛さ(ペペロンチーノ)。 胃弱な私には、あまりにも過酷なパスタなので、ほとんど食べることはありませんでした。 が、その概念が覆された『衝撃のペペロンチーノ』。

留学するとき料理教室の選択肢は2つ。 プロに教わる料理教室とマンマの自宅キッチンで教わる家庭料理。 
レストランの洒落た料理よりも、簡単・早い・美味しい家庭料理に挽かれて先生のご自宅に週5日通い、前菜・プリモ・セコンド・ドルチェといろいろな料理を教わりました。 
片言のイタリア語しか出来ませんでしたので(今でも同じレベルですが)、通訳付きのコース。 なのに、雨で通訳が遅れて、しかも終了時間通り帰ってしまい、私を含めた片言イタリア語レベル数人が通訳をしたり、なんていう思い出もあります。

先生の教室は、前日に参加する皆で何を作りたいか先生と相談して決めるという形でメニューが決まります。
で、ついに登場した『アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ』。 皆さんが「習いたい」というのですから、私も覚悟を決めて挑みます。

『衝撃のペペロンチーノ』(私が勝手に命名)

オリーブオイルににんにくの香りをじっくりと移し、水分を加え乳化させたら唐辛子と塩を加えて馴染んだところでオイルだけパスタに絡めます。
出来上がったパスタには、にんにくの姿も唐辛子の姿もありません。

先生に「どうしてにんにくと唐辛子を取り出すのですか?」と質問すると「Il gusto è troppo forte」(味が強すぎる)からとの答え。 
(そうそう、そうなんです。私が苦手なのはそこなんです)と心の中でつぶやく私。 で、出来上がったパスタのまろやかで美味しい事ったら。 オイリーでもなく、柔らかなにんにくと程よい唐辛子の辛さが心地よいのです。
これが「あ・まーの」の<アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ>の原型となるのでした。


留学こぼれ話

とある休日。
フィレンツェからちょっと小旅行へ。 
ところは・・・・トスカーナ州シエナのカンポ広場。 
市庁舎前に広がる大きなすり鉢状の広場に圧倒されているときに、携帯が鳴ったのでした。from Japan・・・お留守番をお願いしていた夫からでした。

「あの~、フライパンが焦げつくので新しいの買ってもいいかなぁ」って。 いや~、その電話は今のタイミングじゃないよね。
イタリアから日本にワープした瞬間、そしてずっと緊張して過ごしていたイタリアの日々から解放された一瞬でもありました。